歴史を知ること

ある日ピーターさんが今からいい場所を見せてあげる。

と言って私を案内して下さった。

ホームスティ先のご自宅から

すぐ近くの藪の中を突き進んで行った。

犬達も一緒について来ました。

 

『ここは藪だったんだけど

昨日長男と一緒に草を刈ったんだ。

この先に美佐子が演奏するのにいい場所があるよ。』

アイルランド滞在中に動画を撮りたい。

とホストファミリーに話してありました。

 

藪の中を突き進んだ先には

光の差し込む森があった。

木がまっすぐに伸びてステキな森だった。

 

そしてその森の奥に廃屋があった。

『ここら辺りは昔は沢山の人が住んでいたんだ。

でも飢饉で…みんな死んでしまった。

他にも森の中に家の跡が沢山あるんだよ。』

 

私の胸が熱くなり、また泣いてしまった。

ジャガイモ飢饉の事は知っていた。

目の前に昔の人が作った家の土台や

石垣が残っている。

一つ一つ石を積み上げて造られていました。

何とも言えない気持ちになり、

私はつたない英語でピーターさんに言った。

下手な英語なので

伝わってないかもしれないけど…。

 

 

外国から来た私達は

アイルランド音楽を楽しむだけでなくて

歴史を知らなくてはならない。

歴史を知った上で弾くべきだと思う。

 

 

涙が溢れて言葉にならなかった。

 

 

ピーターさんは

『音楽と歴史は繋がっているんだよ。』

みたいな意味の事を言われたと思います。

 

 

今回の旅で私はよく泣いた。

 

 

ヘルシンキの大聖堂を訪れた時、

フィアクラ先生の演奏を聴いた時、

コンペティションで『演奏が美しかった。』と

言ってもらえた時、

オカロランのお墓を訪れた時、

そしてこの廃屋を目の当たりにした時です。

 

アイルランドの歴史を目の当たりにし、

歴史を感じ取った時に

アイリッシュ音楽の切なさと美しさが

今までよりも理解出来るような気がしました。

 

 

これからはオカロランの曲も

今まで以上に気持ちを込めて

弾けるような気がしています。

 

 

オカロランのお墓では

感謝が溢れてきたのです。

美しい曲をたくさんありがとう。

感謝の気持ちをオカロランに伝えました。